特定非営利法人Homedoor

ホームレス状態を生み出さない日本にすべく、HUBchari事業を中心に活動するNPO法人です

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「あなたは社会に良さそうなことをしたいんですか?
 それとも、社会を変えたいんですか?」
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Homedoor立ち上げから数ヶ月が過ぎた頃、川口は社会起業塾の講師から手厳しい言葉を投げかけられていた。社会起業塾といえば、数々の社会起業家(社会問題を解決するために起業した人)を生み出している、いわば社会起業家としての登竜門のような塾である。そんな信望ある塾に、川口は最年少で入塾を果たした。もちろん、周りはほぼ社会人。「戦々恐々」という言葉がぴったりであった。ビジネスの経験など全くない川口は、何をどうしていけばいいのかに悩んでいた。ただビジョンだけが決まっている、そんな状況だったからこそ、講師の言葉は心を激しく揺さぶった。

いつの間にか、団体を設立した事で満足してしまっていたのではないか。本来の目的である「ホームレス状態を生み出さないニホンをつくる」ということを何年で成し遂げるのか、それから逆算して今何をすべきなのか、ちゃんと計画を立てていかなければいけないことに気付かされた。

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それからというもの、ひたすらに足を動かし続けた。まずは、モーニング喫茶をあいりん地区で毎朝実施することにした。食べに来て下さるのは元ホームレスの方や、生活保護受給者のおっちゃんたち。彼らと親密になる事で、隠されたニーズを引き出すことに尽力した。他の機関が実施するホームレス問題の調査研究にも体が動く限り参加した。そして、ある一人のおっちゃんの言葉が、Homedoorの将来を大きく変える事となった。

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「自転車修理くらいやったらワシでもできるでぇ。」
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ある日、ホームレス生活をしているおっちゃんと話していた川口は、一縷の可能性に気づいた。おっちゃんが特技について話していたのだ。それから、その言葉がずっと頭のなかで反芻していた。『もしかしたら、これなんじゃないか』そう思い始めた頃には、足はすでに別のおっちゃんへ向いていた。やはり同じ回答が聞けた。廃品回収をしたことのあるホームレス経験者は全体の過半数である。自転車やリヤカーに何キロもの荷物を載せて街なかを走るため、自然と自転車修理をする機会が多かったようだ。

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自転車に関連した仕事を提供したいと考えるようになり、ホームレス問題や行政、法律のそれぞれの専門家を交えて、「秘密会議」を2週間に1度実施していった。自転車販売の仕事を提供しても、競合がいるため結局、既存の雇用されている人の仕事を奪ってしまいかねず、それではホームレス問題の解決には意味が無い。かと言って、「ホームレスの方が作った自転車」と売りだしたところで、支援目的に買ってくれる人が多く、これではいつまでたってもおっちゃんたちは支援される側だ。悶々と悩みつづけた末、ようやくひとつの答えに辿り着いた。

支援される側から支援する側へ。
「シェアサイクル」だ。このシステムなら競合もいないし、別にホームレス支援をしたくて使うわけではなく、「自分が使いたいから使う。それが、いつの間にかホームレス支援にもつながっている」という形が作れる。自転車販売では納得いかなかった点をシェアサイクルが解決してくれたのだ。

しかもシェアサイクルという仕組みはそもそも、違法駐輪などの自転車に関する問題を解決するために欧米で生まれたものなのだ。シェアサイクルを実施すればホームレスに関する問題だけでなく、自転車問題の解決にも寄与できる。これであれば、おっちゃんたちも支援される側ではなく、支援する側、自転車問題を解決する側に回ってもらえるのではないか。
そうなるとますます、働きがいを感じてもらえるのではないかという期待で胸が膨らんだ。

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