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特技を活かした
仕事作り

社会を変える計画を作る社会を変える計画を作る

「あなたは社会に良さそうなことをしたいんですか?それとも、社会を変えたいんですか?」

Homedoor立ち上げから数ヶ月が過ぎた頃、川口は社会起業塾の講師から手厳しい言葉を投げかけられていた。社会起業塾といえば、数々の社会起業家(社会問題を解決するために起業した人)を生み出している、いわば社会起業家としての登竜門のような塾である。

そんな信望ある塾に、川口は最年少の19歳で入塾を果たした。もちろん、周りはほぼ社会人。しかも、誰もが知っているようなコンサルティング会社、証券会社、総合商社に勤めていたという人たちで、「戦々恐々」という言葉がぴったりであった。ビジネスの経験など全くない川口は、何をどうしていけばいいのかに悩んでいた。ただビジョンだけが決まっている、そんな状況だったからこそ、講師の言葉は心を激しく揺さぶった。
いつの間にか、団体を設立した事で満足してしまっていたのではないか。本来の目的である「ホームレス状態を生み出さないニホンをつくる」ということを何年で成し遂げるのか、それから逆算して今何をすべきなのか、ちゃんと計画を立てていかなければいけないことに気付かされた。

それからというもの、ひたすらに足を動かし続けた。まずは、モーニング喫茶をあいりん地区で毎朝実施することにした。食べに来て下さるのは元ホームレスの方や、生活保護受給者のおっちゃんたち。彼らと親密になる事で、隠されたニーズを引き出すことに尽力した。他の機関が実施するホームレス問題の調査研究にも体が動く限り参加した。そして、ある一人のおっちゃんの言葉が、Homedoorの将来を大きく変える事となった。


「自転車修理くらいやったらワシでもできるで。」

ある日、ホームレス生活をしているおっちゃんと話していた川口は、一縷の可能性に気づいた。おっちゃんが特技について話していたのだ。それから、その言葉がずっと頭のなかで反芻していた。『もしかしたら、これなんじゃないか』そう思い始めた頃には、足はすでに別のおっちゃんへ向いていた。やはり同じ回答が聞けた。廃品回収をしたことのあるホームレス経験者は全体の過半数である。自転車やリヤカーに何キロもの荷物を載せて街なかを走るため、自然と自転車修理をする機会が多かったようだ。

「自転車に関連した仕事を提供できないだろうか…」
一般的な仕事から離れしばらく経つホームレスの人たちがだからこそ、特技を活かした仕事の方がスムーズに働いてもらえるのではないか。それから、くる日もくる日も、どんなビジネスが良いのか考え続けた。自転車販売の仕事を提供しても、競合がいるため結局、既存の雇用されている人の仕事を奪ってしまいかねず、それではホームレス問題の解決には意味が無い。かと言って、「ホームレスの方が作った自転車」と売りだしたところで、支援目的に買ってくれる人が多く、これではいつまでたってもおっちゃんたちは支援される側だ。悶々と悩みつづけた末、ようやくひとつの答えに辿り着いた。

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