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誰もが何度でも
やり直せる

「ただいま」と言える場所「ただいま」と言える場所

「死ぬか、相談するか、それしか選択肢はありませんでした。」
夜回り活動「ホムパト」を始め、少しずつ認知度が高まるにつれ相談者も増えていった。2015年ごろより、体調不良での駆け込みの相談等、緊急性の高い相談もあり、宿泊支援の必要性が高まっていった。
今こそ、川口が18歳の時に描いた夢の施設を実現するときだった。しかし、設立してまだ5年。HUBchari事業の収入もなかなか安定せず、年度末になると来年は存続できるだろうかと心配になるくらい、資金力が不足していた。ホームレス問題への偏見はまだ根強く、寄付は容易に集まらない。そこで段階的に準備を進めて行った。
まず、生活応援施設をオープンし、その近隣のアパート1部屋を実験的に借り、宿泊支援の効果を検証していった。行政が運営する施設は共同生活が基本で、私たちが目指す、「困っている時こそ、ゆっくり体を休め、次への活力を溜めて欲しい」というものとはかけ離れている。実際に、個室型宿泊施設を要望する声はとても多いことに気づいた。恒久的な住宅に移る前の一時的な安心できる住宅を提供する「トランジショナルハウジング」の重要性を再認識し、施設に最適な物件を探し続け丸3年、あるビルに目星をつけた。

そこは、2~5階でユニットバス付きの個室が18部屋ほど確保でき、1階を団らんスペースや事務所スペースにできるような物件だった。ここであれば、内装費用も格段に抑えて、夢の施設を体現できる。そう確信し、毎月1000円の継続的に寄付で支援してくださるサポーターを集め、借りることにした。ここに来たら、誰もがホッと安堵できるように、路上脱出に必要な機能を付加(&)できるようにという願いを込め、「アンドセンター」と名付けた。

18部屋の宿泊室は2パターン用意し、相談に来たその日から泊まれるような緊急シェルター、そして、長期で滞在し仕事に行きながら貯金し、家を借りられるような長期宿泊だ。また、相談はまだする心境にはないけどシャワーや洗濯、仮眠をしたいと言ったニーズに応えられるように、シャワーや仮眠室等も準備した。

「相談に来たその日から泊まれる」
2018年6月、夢の施設であったアンドセンターをついにオープンできた。それ以降、相談者数もうなぎ登りに増えていった。2020年、コロナの影響から相談者数は年間1000人を超えた。大阪以外からの相談も相次ぎ、各地の支援機関と連携しながら相談にあたった。2021年6月には、アンドセンターではスペースがなく、食事の提供ができないことから隣の物件を改装してカフェ「おかえりキッチン」もオープンした。「しんどい時こそ、最高のおもてなしを。」が コンセプトだ。

ここまで来るのに、だいぶ遠回りも寄り道もしてしまったかもしれない。それでも、一歩一歩着実に、そして、目の前に相談に来られたひとり、またひとりと向き合いながら、真に必要な支援を追求してきた。すべての人にとってのホームへの扉となる道のりは、まだまだ長い。Homedoorは14歳の少女が抱いた気持ちから始まった団体だ。純粋な疑問を忘れず、いつも初心に帰りながら気持ちをたゆませず、活動をこれからも精力的に行っていく。いつでも「ただいま」と「おかえり」が行き交う場所にするために。

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